【完】宛先不明のラブレター
俺の様子がいつもと違う事に気付いたのか、不安そうな顔をしながら茉莉が顔を上げた。
そんな茉莉の頬にキスをして、見つめる。
彼女を抱きしめる手に、汗がにじんできた。
「…結婚、したい。」
「…え?」
「茉莉と、結婚したい。」
ずっと前から、考えていたことだった。
小さい子が好きな子と結婚したい、なんていう可愛い話ではなくて、現実としてずっと考えていたこと。
…演出もなにもない、言葉だけのプロポーズに、茉莉は笑いながら涙を流していたのを、今でもよく覚えている。