【完】宛先不明のラブレター
「…そうだけど、」
「…結婚、してくれるんでしょう、私と」
兆発するかのように言う茉莉に、思わず笑った。
俺が笑うと、茉莉も笑った。
「…いいの?、俺なんかと結婚して」
「なによそれ。 …まぁ、演出も何もないなんて気が利かないところは聡らしいと思うけど」
「演出は、研修医が終わった後にしようと思ってたし…、でも、これ。」
くすくすと笑う茉莉の左手をとって、薬指に指輪をはめる。
…うん、ぴったりだ。
茉莉は俺と指輪を交互に見ながら、また涙を流していた。