【完】宛先不明のラブレター
俺は、医師になろうと決めたときから、ずっとこの『高台病院』に勤めようと思っていたから、迷わず研修先をこの病院にした。
けれど茉莉は、元々大学の附属病院に勤めようと思っていたらしく、当然のようにそこに就職した。
大変だけどやりがいがある、といつもにこにこしながら話す茉莉は、大学生の頃と、付き合っていた頃と全く変わっていなかった。
季節が、夏から秋へと変わろうとしていた。
日が短くなってきていて、もう外は暗かった。