【完】宛先不明のラブレター


「なんでそこに座るんですか」


不機嫌そうな顔のまま、声が更に不機嫌さを増していた。

そんな彼女の言葉を聞いて、つい意地悪なことを言いたくなってしまった。




「これ以外ベンチないじゃん?君も知ってるだろう?」

「じゃあ立ってればいいじゃない」

「あいにく、オジサンだから座りたくて。ベンチに。」


そう言うと、目の前の彼女は更に顔を歪めた。


…絶対、俺のこと嫌な奴って思ってるんだろうな。

顔に書いてある。わかりやすすぎて面白い。


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