【完】宛先不明のラブレター
果枝ちゃんの問いかけに、思わず言いそうになった自分の気持ちを、ぐっと飲みこんだ。
「…この意味はもう言ったし、俺は君にわざわざ言う気はないよ。 わからないなら、知らないなら、…そのままの方がいい。」
俺の気持ちを知って、果枝ちゃんが傷付くんだとしたら、苦しい思いをするんだとしたら、こんな気持ち知らなくていいよ。
…俺は、俺のために、何よりも果枝ちゃんのために、本当の気持ちは言えないから。
だからどうか、果枝ちゃんも気付かないで。
俺の言った、『好き』の意味に。