【完】宛先不明のラブレター
たった、少しの間だ。
果枝ちゃんといたのは。
時間を共にしたのは。
…しばらくしたら。
果枝ちゃんに会わなくなったら。
きっとこんな気持ち、忘れてしまえる。
茉莉だけを、愛していける。
「…果枝……」
思わず口をついて出た言葉に、苦笑いをこぼした。
…忘れ、られるのだろうか。俺は。本当に。
茉莉と比べたら、ずっとずっと、関わっていた時間は少ない彼女のことを。
……気持ちはどんどん大きくなっていくばかりなのに。