【完】宛先不明のラブレター
家に向かう足取りが重くなった。
…俺は、こんな気持ちで茉莉の元に帰っていいのだろうか。
茉莉に会って、いいのだろうか。
でも、俺が帰る場所はいつだって、そこしかないわけで。
茉莉のいる我が家しか、ないわけで。
「…もう、こんな時間か。」
果枝ちゃんはもう帰ったかな、なんて、こんなときも果枝ちゃんのことを考えた自分に、また苦笑いがこぼれた。
…もう、忘れないといけないのに。