【完】宛先不明のラブレター
「あ、おかえり。 今日は早かったのね?」
「…そう? いつも通りだったと思うんだけど」
にこにこしながら出迎えてくれた茉莉を見て、ほっ、と安堵のため息をついた。
茉莉の顔を見ると、安心する。
自分の帰ってくる場所は、ここなんだと実感する。
玄関からそのまま寝室に向かう俺の後ろに、茉莉がいつものようについてきた。
「ねぇ、聡」
俺が脱いだスーツを丁寧にハンガーにかけてくれていた茉莉が、相変わらずにこにこしながら俺に呼びかけてきた。