【完】宛先不明のラブレター
_prologue
月が人を惑わすには充分すぎるくらい、光り輝く満月の夜。
星がたくさん見える澄み切った空の下で、私はただ、空を見上げていた。
佐藤果枝(サトウ カエ)、17歳。秋生まれの現在高校2年生。
顔も性格も成績も運動神経も並で、どこにでもいるようなフツウの女の子だと自分では思う。
運命の“う”の字すら信じていなかった。
現実を、17年間の人生で見てきたから。
…それなのに『これが運命なんだ』と、思わずにはいられない出会い。そして気持ち。
17歳にもなって、夢見がちだなんて呆れられるかもしれない。
…例えバカにされても、あたしは運命なんだとしか言わないけれど。
高校生活も半分を過ぎた高2の秋、冬間近。
あたしは運命の恋を、した。