【完】宛先不明のラブレター

_prologue



月が人を惑わすには充分すぎるくらい、光り輝く満月の夜。

星がたくさん見える澄み切った空の下で、私はただ、空を見上げていた。




佐藤果枝(サトウ カエ)、17歳。秋生まれの現在高校2年生。

顔も性格も成績も運動神経も並で、どこにでもいるようなフツウの女の子だと自分では思う。


運命の“う”の字すら信じていなかった。

現実を、17年間の人生で見てきたから。




…それなのに『これが運命なんだ』と、思わずにはいられない出会い。そして気持ち。

17歳にもなって、夢見がちだなんて呆れられるかもしれない。


…例えバカにされても、あたしは運命なんだとしか言わないけれど。




高校生活も半分を過ぎた高2の秋、冬間近。

あたしは運命の恋を、した。


< 2 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop