【完】宛先不明のラブレター


空から視線を前方へと戻し、足を動かしながら仕事場に向かっていて、ふ、と考えないようにしていたことが頭をよぎった。




もう、来ることはないだろう彼女のことを。


…これでよかったはずなのに、胸がちくりと痛む。

気のせいだ、と思っても1度考え始めると止まらなかった。


果枝ちゃんの顔が頭をよぎる。


…笑顔を思い出せない。

頭をよぎるのは、昨日最後に見た、泣き顔だった。


< 205 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop