【完】宛先不明のラブレター


言葉の最後を濁しながら、果枝ちゃんの顔を見ると、果枝ちゃんはココアをにぎりしめて、つま先辺りを見つめていた。




「…全部です。」

「…え?」


果枝ちゃんの言葉に、反射的に聞き返していた。

果枝ちゃんはそんな俺に少し困ったような表情を向けて、はっきりと言った。




「だから、全部です。今日まであたしが見た聡さん全部。 …これからも色んな聡さんを見て、それを全部好きだって、思うと思う。」

「…うん、そっか。ありがとう。」


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