【完】宛先不明のラブレター


一向に俺の鼻から手を離そうとしない果枝に少し呆れつつ、果枝の手を掴んで鼻から離し、手をそっと重ねた。

一連の動作を見ていた果枝は、ぷくっと頬をふくらまして、俺から顔を背けた。




「すねないの。」

「すねてない」


誰がどう見ても拗ねているのに、拗ねていないと言い張る果枝に笑みがこぼれた。




「…そういうことにしといてあげる。」

「…すねてないから」

「はいはい。」


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