【完】宛先不明のラブレター
ニヤニヤしてしまいそうなのを堪えて果枝を見ていると、果枝は俺の顔を見て一瞬悲しそうな顔をして、すぐにまたぱっと顔を背けた。
そんな果枝から視線をずらし、街灯に腕時計を照らして時刻を見た。
…そろそろお別れの時間かな。
「果枝?」
「っえ、」
「もう時間。」
俺に言われて慌てて時計を確認した果枝は、少し困ったような表情を浮かべ、側に置いていた学生カバンを手に取った。
「…あ、じゃあ…」
「うん、また明日ね。」
「…うん、明日。」