【完】宛先不明のラブレター


『同僚の家で飲んでる。同僚が離してくれないからこのまま泊まる。一応言っておくと男だから安心して。急に決まったことだから、先に言っておけなくてごめんな』


…我ながらなんて嘘だろう。


しかも、電話じゃなくてメール。

カンの鋭い茉莉なら、こんな嘘見抜けるかもしれない。




…まぁ、昼間の一件があるし、そのせいで俺が帰りたくないと思っている…と、とられるような気もするけど。




パタン、と携帯を閉じてポケットにしまい、横を歩く果枝を見た。




「果枝」


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