【完】宛先不明のラブレター
「聡がいいって思ったところでいいよ。」
果枝は少し恥ずかしくなってきたのか、ホテルをあまり見ずにそう答えた。
「そう?…じゃ、ここに入ろうか」
「…うん」
果枝が頷くのを確認して、果枝の手を引いてそのホテルに入っていった。
空きがあってすぐに入れ、フロントでカードキーを受け取ってエレベーターに乗りこんだ。
果枝は緊張しているのか、俺の手を握って俯いたままだった。
沈黙。
どちらも口を開くことなく、手を繋いだまま目的の階に到着した。