【完】宛先不明のラブレター
果枝は俺から視線をそらし、俯いた。
そんな果枝の様子に不安になって、思わず手を伸ばした。
果枝の体に触れる前に、果枝は言葉を続けた。
「…あたしを、一瞬でも、選んでくれて。」
「……」
「あたしを、…好きって言ってくれて、ありがとう」
「…果枝?」
宙をさまよっていた手で果枝の肩に触れ、果枝の顔を覗きこんだ。
果枝の瞳に、俺の顔が映っているのが見えた。
…嫌な予感が、した。