【完】宛先不明のラブレター


長い、沈黙。


聡さんは相変わらず空を見上げたままで、あたしはそれを見ている。

…視線が絡むことはない。




「…言えないよ、いや、もう言った。」

「え、?」

「…果枝ちゃんが、俺を嫌いになってくれればいいと思ったからだよ。」

「!?」

「俺には、…無理だから、」

「聡さん…? さっきから、何言っ、」

「俺は、今更やりなおしのきく立場には、もういないから」


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