【完】宛先不明のラブレター
茉莉が怖いくらい真剣な顔をして俺を見るので、このままごまかすなんて無理かもしれない、と思った。
…でも、バレるわけにはいかない。
バレてしまったら、何のために果枝と別れたのかわからなくなる。
…俺のために、果枝のために、誤魔化すしか道はない。
「…あの日、ねぇ。 別に何もなかったけど。」
「嘘。あの日から聡はおかしくなったもの。…ねぇ、私相手に誤魔化せると思ってる?」
「誤魔化すも何も、本当のことを言ってるだけなんだけど」