【完】宛先不明のラブレター
苦笑いをうかべながらあたしの横に座ってきたのは、加藤裕太(カトウ ユウタ)。
いわゆる幼馴染というやつで、お互いを小さい頃から知っているし、親同士も仲がいい。
…まぁ、なんともありきたりな関係だった。
「珍しいな、果枝が泣いてるなんて」
「ブサイクなことになってるんだから、あんまり人のこと見ないでよ」
「今更気にするような仲でもないだろ?」
「…親しき仲にも、礼儀あり」
「ねぇだろ、いつも」
「まぁね」
ふっと、思わず笑いがこぼれる。
裕太といると、気が楽だった。