【完】宛先不明のラブレター
「…じゃあ、元気でね。」
茉莉を最後に見た日。
それは、俺が茉莉と正式に離婚した日だった。
茉莉はまるで家出をする少女のように、少し大きめのバッグに荷物をぎゅうぎゅうに詰めて、それを持って玄関先で俺に笑顔を見せた。
…茉莉と話し合って、俺達は一緒に住んでいた家から2人とも出て行くことに決めた。
お互い、新しい道へ進めるように。
出来るだけ、2人でいたときの思い出を、思い出さないように。