【完】宛先不明のラブレター
もう、引け目を感じるものは何もない。
俺にはもう、果枝しかいない。
果枝だけ、いればいい。
…茉莉を幸せにすることは出来なかったけれど、果枝は必ず、俺が幸せにするから。
『また、いつか』という果枝との約束も、
『幸せになってね』という茉莉との約束も、
今ようやく果たすことが出来た。
…いや、ようやく、果たすための準備が整った。
「俺の手で、果枝を幸せにしてみせるから」
「あたしも、聡を幸せにするよ」
どこでどうすればよかったのか?
なんて今もわからないけれど、ただひとつ言えるのは、ひとつも無駄なんかじゃなかったということ。
たったひとつの出来事が欠ければ、今の俺は存在しないのだから。
…そのことを忘れないで、俺はこれからを生きていく。
愛する人の、となりで。