【完】宛先不明のラブレター
3年前のあの頃より、長くなった果枝の髪の毛に触れた。
そして髪の毛から手を移動させ、顔のラインを指でなぞった。
果枝はくすぐったそうに少し動き、すぐに動かなくなった。
…果枝はそのまま寝てしまったので、3年の間の話を聞くことは出来なかった。
でも、まぁいっか。
明日は日曜日だし、休みだ。
これからは、ずっと一緒にいられる。
横に並んで、堂々と歩ける。
付き合っていたら当たり前なことを、ようやく果枝にしてあげられる。
「…待たせて、ごめんね」
小さな声で果枝に囁いて、起こしていた体を再びベッドに沈めた。
…明日も、
夜にたくさんの星が見えるように、晴れることを祈りながら。
【END】