【完】宛先不明のラブレター
「あーあ、…またここに来ちゃったよあたし…」
ベンチに手をついて空を見上げた。
いつのまにか日は沈んで、もう星が見えている。
…小さい頃から、いや、それこそ生まれた時からあたしはこの地に住んでいる。
もう17年以上だ。
この高台から見える景色も、ずいぶん変わった。
きっと人々の心も。
でも、この場所だけは17年間変わらない。
これからも変わらないでほしいと思わずにはいられない。
この場所だけは。