【完】宛先不明のラブレター


「…あたし、純粋なんで嘘とかつけないんですよ。」

「…ふは、そこで純粋か、」

「な、ちょ、笑うことないじゃないですか!」


ぺしっ、と軽く聡さんの腕を叩くと、それに反応して、笑っていた聡さんがいきなり…あたしの手を、ぎゅっと掴んだ。


ドクン、と心臓が脈打つ。




「さ、さとるさ…?」


呼びかけた、次の瞬間だった。


ぐいっと手を引かれて、あっという間に聡さんの腕の中に納まる。

聡さんの心臓の脈打つ音が、耳元で聞こえる。




「…果枝ちゃん、」


< 54 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop