【完】宛先不明のラブレター
「…でも、ダメだった。…今日またこうして出会ってしまったから。」
そっとあたしの身体を離して、頬をなぞってくる。
その手があたたかくて、優しくて、涙がこぼれた。
「…果枝が、好きだよ」
「……!」
どんどん涙が出てきて、目の前の聡さんの顔がぼやけて見える。
頬を伝う涙を、聡さんは何度も何度も優しく拭ってくれた。
「これから、すごく辛い思いを沢山させると思う。 …それでも、俺と一緒にいてくれる?」
「…いるっ…!」
聡さんさえ、いればいい。
聡さんさえ、傍で笑ってくれたらいい。