【完】宛先不明のラブレター


涙を堪えるのに必至で、少しぶっきらぼうに言ってしまった。

…だって、聡が、…大事にしたいって言ってくれたから。


あたしには、その言葉だけで充分だよ。




「……じゃあ、ホテル行く?」

「…うん。」


聡の問いかけに迷うことなく答えると、聡はあたしの手を引っ張ってあたしを立たせて、そのまま歩き出した。




歩きながら、聡は携帯を取り出してメールを送っていた。


…多分、奥さんに送ったんだろう。

遅くなる、とでも送ったのかな。




「…果枝。」


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