シンデレラへの軌跡
「はい、ありがとうございます!」
会社のくせで大きな声で
お礼をいってしまった。
ウェイターは驚いた顔をしていたが、
くすくすっと笑って席を離れていった。
熱がでたかのように顔が熱くなる。きっと真っ赤な顔をしているんだろうなぁ。恥ずかしくなって美紀の顔をみると、美紀も驚いた顔をしていた。
「真央、すっかり有名人?」
いやいやいや、有名人だったら、ハチ公前で待ち合わせをしたら囲まれますって。
美紀ははぁ~と溜め息を吐いた。
「気になる人、真央に取られちゃう」
「・・・えええ~!それはないって!」
「だって、真っ赤になってるし」
「これは・・・ね」
大きな声を出してしまったことが恥ずかしかっただけだよ~。
それに、いまは恋愛をしている余裕はないの。一日でも早く、半人前から一人前の女子アナウンサーになりたいんだもの。
「ま、その気持ち、私にもわかるわ。私も早く一人前になりたいもの」