シンデレラへの軌跡


「お待たせしました」


おいしそうなパスタが二つ、テーブルに置かれた。


「半分ずつに分けられるように、取り皿もお持ちしました」


「ありがとうございます!」


あ・・・また大声で答えちゃった。


くすくすっ笑い声が聞こえてきて、顔がものすごく熱くなるのがわかる。


「いえ、こちらこそ。
ごゆっくりしてくださいね」


「あ~、食べよ~、お腹が空いた~」


美紀はすっかり緊張が解けたようで、慣れた手つきで取り皿にパスタをわけてくれた。


「そういえば、明日は早いんだっけ?どんな仕事なの?」


ん~~~~。明日の仕事は。


朝はお天気お姉さんのスポットでしょ。
その後は、野球のインタビューの突撃隊。


へぇ~、と感心しながらパスタを口に運ぶ美紀。


お休みのときだけ、代理で出番があるだけだけれどね。
それでも、原稿を読む練習にもなるし、天気の用語も覚えられるし、決められた時間内で伝えなくてはいけないプレッシャーとの戦いには度胸をつけるためにもどんどんチャレンジしたい。


でも、朝のニュース内のお天気コーナーだから、朝がとっても早いのが悲しいかな?


アナウンサーって、時間が不規則なんだもの。


その仕事がしたくて、夢が叶ったのだから、頑張らなくちゃね。


「真央が前向きだから、私も頑張らなくちゃね」


出版社に入社した美紀。


いまは新人教育実習の真っ最中とのこと。
一人前にページが任されるまでには道のりは険しいみたい。


「お互い早く一人前になれるよう頑張ろうね!」


近状報告をするだけで、すっかり長居をしてしまったみたい。


「あ、もう帰らないとね。明日も早いし」

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