満月の夜

「ハァッハァッハァッ…ッくるしッ」


「樹梨亜…」


左手で胸を押さえて、もがきながらも必死に右手を伸ばす樹梨亜。

「行か…ないで…1人に…」

「大丈夫…樹梨亜は1人じゃない…みんなそばにいる」


涙を流しながら必死に伸ばす樹梨亜の手を握った人物。
すると樹梨亜は安心するように、握られた手を握り返し穏やかに眠りについた。


「樹梨亜…ごめんな。
俺、お前の事好きだったんだぜ……」


すると、樹梨亜の唇に己の唇を重ねた人物。
愛しい者を見つめる瞳に悲しい表情をしていた。


「サヨナラ……俺の愛しい人」


別れの言葉を残し、男は出て行った。

 
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