満月の夜
「ん…」

目を覚ますと、一番最初に視界に入ったのは真っ白い天井だった。

「ここは…なんで、私ベッドに…?」


「あら!気がついたのね、体は何ともないかしら?」


カーテンを開けて現れたのは医務室担当の先生。


「先生…」


「伊吹さん、体育中に天坂さんにバスケットボールが飛んできて それを庇って気絶したらしいわよ」


「(そう言えばそうだったっけ…)」


「天坂さん心配してたけど、もう夕方だから家に帰したわ。伊吹さんもそろそろお迎えが来るだろうから 今日は安静にしていてね。」


窓からは真っ赤に染まる夕日が医務室を照らしていた。


「(もうそんな時間まで…)わかりました。ありがとうございます。」


一言お礼を言って、樹梨亜はベッドから降り医務室を出た。

 
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