Treasure!
一気に間合いを詰めて来ない。

男はグルカナイフを構えたまま、ジリジリと近づいてきてはプレッシャーを与えてくる。

こうやって時折攻撃して小さな傷を与え、俺の体力を少しずつ削り取って消耗させるつもりだろう。

或いは、男は遊んでいるのかもしれない。

実力に大きな差があると考え、じっくり時間をかけて嬲るつもりなのかもしれない。

どちらにせよ、一思いに決着をつけない辺りに男の陰湿さを感じた。

プレッシャーに押され、俺は後退するしかない。

やがて…「!」

背中が何かにぶつかる。

俺はいつの間にか、壁際に追い詰められていた。

…男に愉悦の笑みが浮かぶ。

「逃げ場がなくなったな…どうする?」


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