Treasure!
壁と向き合い、背中を無防備に俺にさらす形となった男。

振り向き様に攻撃を繰り出そうとするが。

「させないっ!」

俺は男の背中に拳を添えた。

殴った訳じゃない、添えただけ。

しかし、次の瞬間。

「がっっっっっ!?」

添えられただけの俺の拳から、強烈な『勁』が発生する!

まるで渾身の力を込めた打撃を受けたような、それ程の威力。

零距離からの拳にもかかわらず、それは男を昏倒させるに十分な破壊力を秘めていた。

「…!…!!…!!!」

男が振り向き、何事か呟く。

だが、それがはっきりとした言葉になる前に。

「っっっ…」

男はその場に崩れるように倒れ、意識を失った。

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