Treasure!
埃っぽい風が、ティアの長い黒髪をかき乱す。

片手でその髪を撫で付けながら。

「ねぇコウ…人類って、何で滅びたのかな…」

遠い太古に思いを馳せるように、ティアは呟く。

「Eウイルスによるパンデミック…これ程の知能と文明を誇る人類が、本当にそんな事で滅亡したのかな…エイプ学者が通説とするEウイルス滅亡説って、本当なのかな…?」

その瞳は、ロサンゼルス遺跡を見ているようで見ていない。

その瞳は、もっと先。

遥か昔、そして己がこれから辿るであろう未来を見据えている。

…俺の意見なんて聞いている訳じゃない。

彼女はきっと、背中を押してもらいたいだけなんだろう。

「そんな難しい事、俺に訊くなよ」

俺は満面の笑みを浮かべる。

「それを解き明かすのが、ティアの夢なんだろ?」

「……」

彼女は驚いたように俺の顔を見て。

「当然でしょ」

同じく満面の笑みを返してきた。

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