Treasure!
遺跡に入ったのは、夕暮れ時だった。

地平線に沈んでいく真っ赤な太陽。

その陽の光に照らされて、廃墟と化したビル群が真紅に染まる。

まるでニューヨークの街全体が炎に包まれているようだ。

そんな真紅の街の中を、俺とティアは慎重に進んでいく。

今やならず者の巣窟となったニューヨーク遺跡。

ここが悪党達の縄張りならば。

「……」

俺は、天空にまで伸びる勢いのエンパイアステートビルを見上げた。

あの塔は、さしずめ悪党どもの城といった所か。

…特に妨害が入る事もなく、俺達はその巨大な塔の前まで辿り着く。

ティアと顔を見合わせ、一度お互いに頷く。

そして俺が、エンパイアステートビルの入り口の扉を開く。

硝子張りの大きな扉。

その扉が、埃と砂で軋むような音を立て、ゆっくりと開いていった。

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