Treasure!
男の話によると、ローチ達は旅行者が使う砂避けの外套に身を包み、突然この建物に侵入してきたという。

当然ただのエイプだと思っていたならず者達は、恰好の獲物とばかりに襲い掛かるものの、そのローチ達は次々と武器を手にならず者達を返り討ちにしたのだそうだ。

得物は銘刀・菊一文字則宗、スペツナズナイフといった古代遺産だったという。

「待ってよ」

ティアが口を挟んだ。

「それって、最近盗賊団が強奪したっていうお宝と同じものじゃない」

つまり、その盗賊団の正体はローチ達だったという事か?

「気をつけろ…お前ら…」

男が喀血する。

「奴ら…殺戮本能だけで…この塔のエイプ達を…次々殺してやがる…もし遭遇したら…お前らも…」

そこまで言うのが限界だった。

男はティアの膝の上で息を引き取った。




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