Treasure!
四方に神経を張り巡らせ、些細な物音も逃さないように。

それはまさに『結界』だった。

俺の気配を読み取る範囲に入ってきた瞬間、頭上だろうと背後だろうと即座に攻撃に転じられる。

『発勁』の修行を始めてから、俺の気配を読み取る能力は格段に進歩していた。

その能力が。

「……」

微かな音を聞き分ける。

崩落しかけた壁から、爪の先程の小石が転がり落ちた程度の音。

しかしその音が、『奴ら』が仕掛けてくる前兆なのは容易に想像できた。

「っっっ!」

突然頭上から急降下してくる影!

俺はその影を、胴回し蹴りで迎撃する!

蹴りは影の腹部にヒットし、そのまま壁へと叩きつける!

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