Treasure!
少佐はライセンスを俺の前に差し出す。

「本来ならば資格取得試験を受け、それに合格した者にだけ与える物なのだが…君はあのエンパイアステートビルを踏破し、ローチ二匹を駆逐し、貴重な古代遺産を三つも命懸けで奪還してくれた…トレジャーハンターにとって何より大切なのは、古代遺産を慎重且つ丁寧に取り扱い、その重要性を認識する事だ。コウ・タオレン、君は若くしてその認識が十分であり、トレジャーハンターとしての資格が十分だと思われる」

…そこまで言われても、俺はすぐにライセンスを受け取る事ができない。

ティアや他の連中は、厳しい試験を突破してようやく資格を手に入れたっていうのに、俺だけこんな…。

「コウ・タオレン」

俺の心中を察したのか、少佐が語りかける。

「我々は、このライセンスを君に押し付ける訳ではない。トレジャーハンターとしての規律に従えという訳でもない。大袈裟な事を言ったが、これは只のお飾りだ。君は今まで通り、君のままで古代遺産を探し、調査し、慎重に扱ってくれればいい」

「……」

困惑して、ティアの方を見る。

『もらっとけばいいんじゃない?』

そんな顔をして、ティアは軽く微笑んでいた。

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