Treasure!
漁村までは、三時間走ってやっと到着できる程の距離だった。

とはいえ、流石に気球の速度には敵わない。

俺達が漁村に到着する頃には、既に帝都軍による『薬品散布作戦』は始まっていた。

五つ、六つと南米大陸上空に舞う大型の気球。

その気球から、大量の薬品…ネオニコチノイドが散布される。

ローチの巣があると思われる南米大陸内陸部を中心に、その薬品の量は何トンにも達するだろう。

この一週間で、よくもあんな大量のネオニコチノイドを準備できたものだ。

より近くで状況を確認したい。

そう思って漁村の海沿いまで進んだ俺は。

「待て待て!一般市民はここから先は立ち入り禁止だ!」

帝都軍の軍人に制止される。

「私達はネオニコチノイドを奪還したトレジャーハンターです!」

慌ててティアが割って入った。

「おお、ではティアさんにコウさんですね。上官よりお話は伺っています」


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