Treasure!
ネオニコチノイドを奪還した俺達は、関係者という事で、この作戦の見学を許された。

漁村沿岸から、作戦の動向を見守る。

…南米大陸は、まるで濃い霧に覆われたかの如く、大量のネオニコチノイド噴霧によって白く煙っている。

ここからだと大陸そのものが霞んで見えるほどの噴霧量だ。

「あれだけネオニコチノイドをばら撒いてやれば、さしものローチどももひとたまりもないでしょう」

軍人が勝ち誇ったような表情で呟く。

…その言葉を肯定も否定もしないまま、俺とティアは状況を見守っていた。

確かに、十分すぎるほどの薬品の量だ。

まともに薬品を浴びれば、ローチは勿論、関係ない動植物にまで影響を及ぼしそうなほどの噴霧量。

今後の南米大陸の生態系や自然環境の事を考えると、感心できない作戦ではあった。

しかし、ローチ殲滅に効果的な方法が他にない以上、作戦決行も致し方なかったのかもしれない。

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