Treasure!
12
「少し化膿しかけているな。とりあえずの応急処置をしておく」

上空を移動する気球。

リハード少佐が、ティアの左足の傷を手当てする。

「コウ・タオレン、すまないが少し待ってくれ。ティア・ハートロックの処置が終わったら、君の手当てもする」

「構わないよ、先にティアを手当てしてやってくれ…それからフルネームで呼ぶのは勘弁してくれよ」

俺は苦笑いしながら少佐の言葉に答えた。

…まだこうして気球に乗っているのが夢のようだ。

死と隣り合わせだった南米大陸での二日間。

野生動物達の生存競争というものを身を以って体験した、貴重だが、二度と経験したくない二日間だった。

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