Treasure!
南米大陸での記憶が呼び起こされる。

何度も死の淵を彷徨った。

脱出する時は、もう二度とこんな経験は御免だと思った。

誰が孤立無援のローチの勢力圏になんて行くものかと、心の底から考えたものだ。

なのに何故だろう。

…ティアに視線を送る。

『行きたい…アフリカの地に立ちたい!』

そんな熱視線だった。

また、生死の境を彷徨う事になるのだろう。

幾つもの傷を負い、苦痛に喘ぎながら大地を這いずり回る事になるのだろう。

だけど。

「その依頼、お受けします」

ティアもまた、俺と同じ冒険馬鹿には違いなかった。

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