Treasure!
俺達も双眼鏡を借りて前方の様子を見る。

積乱雲の下を、激しい風と雷雨が襲っているのが見て取れた。

雲はかなりの速度でこちらに近づいてきている。

近いうちに気球も積乱雲に飲み込まれるだろう。

「まずいな…中央アフリカまで、まだ相当距離があるというのに」

リハード少佐が歯噛みする。

あの雷雨の中で、気球による飛行はかなり難しいだろう。

そんな事を考えているうちに。

「!!」

気球は積乱雲の中に飲み込まれた。

閃く稲妻。

打ち付ける豪雨。

気球の進路を変える突風。

その自然現象の前に気球は翻弄された。

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