Treasure!
ティアと先を争うように岩陰に飛び込む。

「はぁ…すっかりびしょ濡れね…」

雨を浴びて重くなったタンクトップの裾を絞りながらティアが溜息をついた。

俺も髪を掻き揚げながら様子を見る。

衰えるどころか、更に強くなる雨足。

この分だと、あと数時間は降り続けるだろう。

雷も鳴っている。

落雷を警戒して、出歩くのは避けた方が賢明だった。

「到着早々だけど…ここで野宿も考えた方がいいかもね」

ずだ袋から固形燃料と簡易調理器具を取り出しながらティアが言った。

雨を浴びて体が冷えている。

何か暖かいものでも食べて温まるつもりなのだろう。


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