Treasure!
背中を、耳を、鼻を。

全身にまとわりついて、牙を立てるローチの群れ。

餌にたかるゴキブリそのものだ。

しつこく象にまとわりつき、その巨体が衰弱して動きを止めるのを待つ。

やがて足取りが重くなってきたところで、一匹のローチが象の首…頚動脈付近を食い破る!

噴き出す血液。

断末魔の悲鳴を上げる象。

その巨体が地面に崩れ伏すと、我先にとばかりに蟲どもは象の亡骸に群がった。

死肉、腐肉でもお構いなし。

醜悪極まりない食事風景だった。

見ているだけで胸が悪くなり、憤りに拳を振るいたくなる。

「コウ」

ティアが俺の拳を包むようにして握った。

「無駄な争いは避けて。ローチ達を倒す事が目的じゃないわ」


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