Treasure!
こうしてローチ達の目から逃れつつ荒野を進み。

「あれよ」

ティアが遠くに見える白い建物を指差した。

疫病研究所。

かつて人間の時代に、感染症や伝染病の研究が行われていた施設。

今では廃墟となり、真っ白だったであろう壁も風雨にさらされて薄汚れてしまっている。

「ここに、Eワクチンが…」

建物にゆっくりと近づきながら、俺は息を飲む。

「まだ『ある』と決まった訳じゃないけどね。あくまで保存されている公算が高いっていうだけで」

ティアがグルカナイフをスラリと抜いた。

さぁ、本番はここからだ。

俺達はゆっくりと建物の入り口へと足を踏み入れようとして。


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