Treasure!
俺は拳を握り締め、ティアはグルカナイフを逆手に持ち、ゆっくりと研究所の廊下を歩く。

砂埃の積もった廊下。

その廊下に沿って、様々な部屋が並んでいる。

資料室や実験室、薬剤保管庫、器具保管庫。

地下へと続く階段を下りても、廊下沿いに部屋は並んでいる。

その部屋の中に、『緊急隔離室』というものがあった。

「多分ウイルスの漏洩による生物災害を防止する為の部屋ね」

ティアが言う。

万が一パンデミック(感染症、特に伝染病が世界的に流行する事)が起こる可能性のあるウイルスなどが研究室内に漏洩した際、この緊急隔離室に感染者を隔離するのだという。

その隔離室はあらゆる汚染物質、ウイルスなどを完全に遮断し、外部からのどんな衝撃にも絶えうる。

おまけに防護服まで準備してある徹底ぶり。

その名の通り、完全隔離が可能な部屋だった。

流石に疫病研究所だ。

最悪のケースに備えて、こんな施設もあるのだ。


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