Treasure!
スカーフェイスが指差す先にあるのは、ガラスケースに保管された小さな箱。

箱の中には、小さなアンプルが入っている。

あれが、Eワクチン…。

Eウイルスの効果を打ち消す働きをする薬品…!

「とれよ」

スカーフェイスが言う。

「……」

俺達は動けない。

取りに行った瞬間、奴はきっと仕掛けてくる。

迂闊には動けない。

スカーフェイスと俺達、対峙したまま、時間だけが過ぎていく。

「時間は余りかけられないぜ?」

スカーフェイスが言った。

「さっきローチ達を退かせただろう?あれは、今進軍してきている帝都軍を迎撃に向かわせたんだ…そして…外にあった核ミサイルをお前達も見ただろう?」

彼は堪えきれないように笑った。

「帝都軍を十分に引きつけた所で、あの核ミサイルを爆発させる。帝都軍とお前らを道連れに、俺はここで死ぬ。今後のローチという種族の繁栄の為にな」

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