Treasure!
苦渋の決断だったに違いない。

ここまで苦楽を共にしてきた相棒。

その相棒を置き去りにして自分だけ逃げる事の辛さ。

俺も南米大陸でティアがさらわれた時、その辛さは痛いほど感じた。

だけど。

「自己犠牲なんてカッコいい事考えないでよね」

苦しげにティアは言う。

「必ず生きて戻ってきなさい!相棒としててではなく、トレジャーハンターの先輩としての命令よ!命は何よりのお宝なんだから!」

「…ああ、わかってる」

振り向かず頷く。

直後、床を蹴る音。

ティアは部屋を出て、研究所の外へと向かっていった。

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