Treasure!
咄嗟に手を引いたお陰で、俺の手は無事だった。

だが、闇の中から這い出してきたスカーフェイスの姿に、俺は愕然とする。

それは、巨大な蟷螂だった。

見上げるほどの巨大蟷螂。

その頭部の部分に、スカーフェイスの上半身が生えているような姿。

これがEウイルスを使用して、より戦闘的な姿へと進化したスカーフェイスだった。

「…化け物に成り下がったな、スカーフェイス…それが『進化』と言えるのか?」

「言えるさ…お前らエイプを殺し尽くす為に強くなった。これが進化でなくて何だ?」

異形のスカーフェイスが歩み出る。

…その時になって初めて気づいた。

研究所の外の大地に突き刺さっていた核ミサイル。

その先端が、この部屋にまで達していた。

ちょうど核弾頭にあたる部分が、この部屋に顔を覗かせていたのだ。

「コウ…とか言ったな」

スカーフェイスが言う。

「俺は貴様をこの場で殺し、あの核ミサイルを起爆させる。それで終わりだ。帝都軍の部隊もろとも核爆発で吹き飛ばす。エイプの主力たる帝都軍に大打撃を与えて、俺の役目を果たす」


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