Treasure!
両腕にギロチンを携えた化け物。

そう言えばわかるだろうか。

スカーフェイスはその凶器を振り回しながら近づいてくる。

捌く事も受け止める事も出来ない。

できる事と言えば、距離をとって回避する事だけ。

活歩を駆使してスカーフェイスの攻撃をかわし、時折懐に飛び込んでは打撃を見舞う!

だが…「くっ!」

その打撃も通じない。

ローチ共通の弱点である筈の柔らかい腹部。

その腹部さえも、Eウイルスによる進化によって甲殻化してしまっていた。

エイプの打撃程度では、その甲殻を撃ち抜く事は出来ない。

もう素手では倒せるレベルではない…!

「捕食される側が何度足掻こうと無駄な事だ」

スカーフェイスの左右の鎌が、俺の体を押さえ込もうと振り下ろされる。

それを。

「っっ!」

俺は素早くバック転して回避した。

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